ペットイメージ

まるで保護者のようなペットでした

子供のころ、ペットとして犬を飼っていました。
父の会社の前に捨てられていた犬でした。
真っ黒な毛並みで手足の先が白かったので、父がくつしたと名付けました。
くつしたはとてもかしこい犬で、おてやふせなどの芸もすぐに覚えました。
犬なのにペットフードが嫌いで、祖母お手製のみそ汁ごはんが大好きでした。
その頃の私は部活に精を出していたので、朝練で朝早くから学校に行き、真っ暗になってから帰宅する毎日でした。
なので、普段はくつしたと触れ合う機会が少なくてさみしい思いをしました。
くつしたもなんとなく私のさみしい気持ち分かっているのか、帰宅した時には尻尾を振って盛大に迎えてくれました。
夜中に遠吠えすることもないし、帰宅の時には吠えずにブンブンと尻尾を振るくつしたを穏やかな犬だと思っていました。
そのことを母に話すと、そんなことはないという返事で驚きました。
家族に対しては吠えることもなくとても愛嬌のある犬だけれど、知らない人が来たら唸るように吠えて威嚇する立派な番犬だったのです。
宅配便の人が怯えるぐらい吠える、と母から聞き本当にビックリしました。
また私が帰宅するときに玄関に出迎えるのではなく、夕方からずっと玄関で待機していると聞きまた驚きました。
遊ぶ時間も短いし、私にはそんなに懐いていないと思っていてのでこれはうれしかったです。
ある時、くつしたを散歩に連れて行った時のことです。
猛暑だったので、朝でも日差しがきつい日でした。
うっかり帽子を忘れて出てしまい、でも引き返すのも面倒なのでそのまま散歩を続けました。
しばらくすると、散歩が大好きなはずのくつしたが突然動かなくなりました。
声をかけると、家に向かってグイグイと引っ張るように歩き出しました。
普段はリードを引っ張るような乱暴なことはしないので、ちょっと驚きました。
その時は、犬も暑いのは辛いのかな、と呑気なことを考えていました。
結局予定よりもだいぶ早く切り上げて帰宅することにしました。
帰宅して玄関で眩暈がし、そのまま倒れました。
母がリビングまで運んでくれ、首と脇をアイスノンで冷やしてお茶をたくさん飲みました。
熱中症でした。
すぐ隣でくつしたが心配そうにしていたのを覚えています。
くつしたは私の体調の異変に気付いたから、帰ろうとリードを引っ張ったのだと思います。
車も人通りも少ない田舎に住んでいたので、あのまま散歩を続けて倒れていたら大変なことになっていたかもしれません。
くつしたは何とか私を守ろうとしてくれたのかもしれません。
あれから何年かたって、くつしたは天国に行ってしまいました。
何度も散歩に行きましたが、あんなにグイグイと乱暴に引っ張ったのは倒れたあの日だけでした。
玄関で待っていてくれたり、引っ張って家に連れ帰ったり、くつしたは私の保護者のような気持ちでいたのかなと思います。
いまでもくつしたに見守られている、そんな気がします。

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